高血圧、高脂血症(脂質異常症)、糖尿病を生活習慣病と呼びます。これらは遺伝や体質によるものもありますが、多くは欧米化した生活習慣の変化に起因するものです。これらの疾患に共通することは血管を傷害して脳卒中(脳梗塞+脳出血)や心筋梗塞のリスクを高めることです。脳卒中と心筋梗塞を含む心臓疾患の死亡率を合わせるとがんを抜いて1位となります。
高血圧
高血圧は放置すると血管障害が進行し脳卒中、心筋梗塞、腎臓病を引き起こしやすく、平均寿命が短くなることが証明されています。現在高血圧治療の第1選択薬に推奨されているのはARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)で、これはゆっくり確実に効果をあらわし腎保護効果もあります。また血管を直接拡張して血圧を下げるカルシウム拮抗剤もよく使われています。
高脂血症(脂質異常症)
高脂血症(脂質異常症)では血管にコレステロールが沈着して血管壁が硬化し、内腔が狭くなります。また溜まったコレステロールや血液の塊(血栓)が剥がれ、末梢の血管が詰まることがあります。このようにして脳梗塞、心筋梗塞がおこります。コレステロールを高いままにしておくと死亡率が上がることは証明されています。コレステロールを生活習慣で下げられない場合はお薬でコントロールするのが賢明です。
糖尿病
糖尿病は高血糖→糖毒性により血管壁の障害がおこり、網膜症、腎症、脳梗塞、心筋梗塞などが合併します。糖尿病性網膜症は日本人の失明原因の2位、腎症は透析の原因の1位です。現在、糖尿病治療薬は多種多様で治療の選択肢は広がっています。以前のようにSU剤と呼ばれる膵臓を強く刺激してインスリンを出させる薬よりはDPP4阻害剤という血糖に依存してインスリンを出させる薬や肝臓での糖の生成を抑制するビグアナイド等の薬が多く使われるようになってきています。
生活習慣病はそれ自体痛くも辛くもないので放置しがちですが、しっかりコントロールしないと生命のハイリスクとなります。日頃から検査を受け、見つかったらなるべく早く治療を受けることをお勧めします。