逆流性食道炎
食事の欧米化にともなって増えてきました。簡単に言えば胃酸過多によって胃酸が食道に流れ込んで炎症をおこす病気です。胸焼け、胸部不快感、げっぷ、苦いあるいは酸っぱい水の逆流、のどの詰まり感などいろいろな症状があり、油っこいもの、甘いものを食べたとき時におこりやすいです。通常は胃酸を抑える薬で改善します。
食道がん
患者さんの数はさほど多くありませんがお酒を多く飲む中高年の男性に多いです。とくにお酒を飲むとすぐに赤くなり酔ってしまう方が日常的に飲酒するとリスクが高くなります。
早期に発見するためにはヨード染色と言ってヨードを食道全体にふりかける方法が最も有効ですがこれは強烈な胸焼けをおこして全例には行えません。内視鏡の新システムNBIは苦痛なくこのヨード染色に劣らない検査が行えます。
胃炎・胃十二指腸潰瘍
これらは永年日本人を苦しめてきましたがH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬の登場で飛躍的に治癒率が改善しました。さらにピロリ菌除菌が行われるようになり再発も減少してきました。ただ最近はストレスによるもの、鎮痛剤によるもの、脳梗塞・心筋梗塞予防のためのアスピリンによるものなどが増えています。ピロリ菌による胃炎が強く胃粘膜が萎縮すると胃がんが発生しやすくなるのでこういう方は1年に1回は胃カメラをお受けになることをお勧めします。
胃がん
胃がんの原因のすべてがピロリ菌によるものではないですがその関与はまず間違いなさそうです。ピロリ菌による胃粘膜の慢性炎症から胃がんになると考えてもよいでしょう。ですからピロリ菌がいるかどうかと胃炎の有無とその程度を胃カメラで確認することが大事です。また最近は早期がんが見つかった場合、胃カメラを使ってがん部の粘膜を切除するだけで治療が終わったり、おなかを数cm切るだけですむ腹腔鏡補助手術など治療法は患者さんに優しくなってきています。
大腸ポリープ
一般に大腸ポリープは大腸粘膜の隆起した病変で、良性のもののことを言います。ただポリープをとってみたところ一部にがんがあった、ということはあり得ます。大腸がんは胃がんと違って良性ポリープから発生するのがほとんどです。大腸内視鏡検査でポリープが見つかった場合はなるべくそのまま切除した方がよいでしょう。
大腸がん
大腸がんの危険因子は、
・血縁者に大腸がんがいる
・肉食
・飲酒、喫煙
・肥満
などです。現代の日本人にとっては大腸がんもある意味で生活習慣病といえるかもしれません。40歳を超えると罹患率が上昇するためこの年齢に達したら少なくとも便潜血検査を受けた方がよいでしょう。ただ便潜血検査にひっかかってこないものもあるのでできれば大腸内視鏡検査をお勧めします。内視鏡で取りきれない大腸がんは手術ということになりますが、胃がんと同じく進行していなければ腹腔鏡補助手術が可能です。
機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群
これらは胃や腸に明らかな炎症などの異常がみつからないのに胃腸の調子が悪い、というものです。機能性ディスペプシアでは胃痛、胃もたれ、食後胃部膨満などの症状があり、過敏性腸症候群では下痢、便秘およびこれらの繰り返し、腹部膨満などがあります。いずれもこれという特効薬はなくいろいろな薬を組み合わせたり、場合によってメンタルな薬を併用することがあります。
急性胃腸炎(感染性胃腸炎)
ノロウィルスやロタウィルスなどのウィルスによるものや大腸菌O-157やサルモネラ菌などの細菌によるものなどがあります。急な吐き気、嘔吐、下痢、発熱などの症状を呈し、ひどい場合は血便となります。特別な治療法はありませんがそれぞれの症状に合わせた薬を使います。下痢止めと抗生剤は急性胃腸炎に使うのに意見がわかれますが、経験上、抗生剤を使用した方が早く良くなるようです。
虚血性大腸炎、大腸憩室出血
どちらも急な下血があります。虚血性大腸炎は一時的な大腸壁の虚血により粘膜が壊死し出血します。通常腹痛を伴います。大腸憩室出血は大腸壁のへこみである憩室から出血するもので比較的大量に出血するため入院が必要となることがあります。
胃腸の病気は当院の専門分野です。何か心配なことがあればお気軽にご相談ください。もちろん当院で対処できない場合でも適切な施設にご紹介いたします。